前回のシンガポールEP事情からかなり時間が経ちましたのでアップデートです。基本事項は前回記事をこちらからご確認下さい。

シンガポールでのEP取得、最近どうなの?

EP取得の現状ははっきり言って「極めて厳しい」です。
2015年頃(与党が議席を減らしたタイミング)からかなり大きく方向性が変わったことは前回記事でお話したとおりです。そこからさらに、取得へのハードルが上がったと言って差し支えないかと思います。具体的に起きていることを見ながら、今の状況を整理します。

民族によっては普通にはEPが取れない!

国によってはそもそもEPが出ない、ということがあります。シンガポールでは民族のバランスを取るため、特定国民/民族が増えすぎないようにコントロールされています。そのため、流入の多いインド系はEP取得が難しく、逆に全体としてもっと必要な中華系民族は取りやすい、という状況にあります。耳にしたところでは、インド系は12,000ドル以上の月収がないとEPが出ない、とも言われています。※12,000ドルはおよそ月100万円、ボーナスや手当 は含まれない固定月給で100万円というと相当な高給取りですよね。既に多数いる民族については、高給が取れる特別な人材しか入ってきてほしくない、というのがシンガポール政府のメッセージなのです。

幸いに日本人については民族バランス的にそこまで厳しい状況ではありませんが、4万人を超える日本人が住んでいる状況からすると、日本人向けのEPも間違いなくタイトになっていると言えます。シンガポールが求めている、高度な技術をもたらす人材/事業であれば厚遇されそう(EPが出やすい)と言えますが、そうでない場合(例えば、ローカル人材で賄えそうなりテールビジネス)はどうやってEPを得るか、戦略的なアプローチが必要です。

EP有効期限でも安穏としていられない!

これまでは、申請→取得→更新・・・と続くプロセスにおいて、最初の取得と更新が難しい、ということがありました。そこに加えて更に、”監査”が入るケースが多発しています。具体的には、取得したEPの有効期間内に、MOM(Ministory of Manpower、日本で言う厚生労働省)から雇用実態や事業実態のチェックが入るようになっています。

こうした監査においては、
  • 雇用と勤務の実態
  • 会社の財務状況
  • 会社の事業実態
といった点がチェックされています。シンガポール政府としては、本当にシンガポールにいて、良いビジネスをしているのかどうか、シンガポールに貢献しているのかどうかをチェックしている、と思われます。

シンガポールでEP取得、滞在/移住は難しい?

簡単ではないのは確かです。ただし、アピールできる要因が様々あるケースでは、むしろスムーズにEPが取れているケースも散見されます。例えば以下のような要因です。
  • ビザ取得者の給与
  • ビザ取得者のバックグラウンド
  • 会社のシンガポール貢献度合い(事業的なもの、財務的なもの、雇用的なもの)
こうしたポイントを押さえて、計画的にEP申請、MOMとの交渉をすることでEP取得の可能性は高められます。いくら外国人労働者を招き入れにくくなったとは言え、シンガポール政府は労働力が不足しているとの認識があるため、必要な労働者にはEPを出すのです。

現在のシンガポールビザ取得における注意点

これは、当社にご相談下さい。笑
といういつもの(?)冗談はおいておいて、まずちゃんとしたプランニングが必要です。過去・現在のEPの状況を加味して、またアプリカント(ビザ申請者)の状況、会社の状況を正確に押さえた上で、計画を立てます。何を言うべきで、何を言うべきでないか。言ってみればMOMに対するプレゼンのプランニングです。

一言で言えば、「何故このビザ申請者をシンガポールに招かないといけないのか」をシンガポール政府の立場に立って考える、そしてシンガポールが受け入れやすいよう、コミュニケーションを設計する、ということが必須です。

また、とにかく早く、というオーダーが多いのですが、早く通したいのであればより多くの情報から、厳選した情報を準備することになります。難しい状況での申請になるため、緻密に準備し、申請をすることが必要です。(なので、当社でも考えることが多く、申請だけ出していればよかった時代に比べると負荷の高いプロセスになりました。楽はできません!)

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